「ディメンションW」が面白かった話

標記の通りです。備忘録的に書いていきます。

*ネタバレを含むのでまだ見てない人はみよう。アマプラのdアニメストアで私は見ました。

1:ストーリー(構成面)で何が面白いのか

・基本的に一話完結ではない点。

 └序盤の数話を除いて、一つの物語に2話以上費やしている。

  └冒頭のキャラクターが登場する部分(3話のナンバーズ関係が出てくるまで?)は基本一話完結。ただ、それはそれで一つの物語としてうまく完結しているし、その後の伏線も上手に張り巡らされている(例えば、冒頭の百合崎博士が消失した部分とかも物語全体の核になるだけではなく、結末部分にも深く関係している)。簡単に言えば、「無駄がない」。

 └人物の設定から想起される、「回収屋」が「セントラル47」で繰り広げるカッコイイ物語に収まっていない。根底にでかいストーリーが広がっており、それがこのアニメの面白さを増幅させているとも思う(シンプルに登場するキャラとか声優さんのパワーでよしなにできそうでもあったから、その方向に行っていないのが偉い)。

・「八十神湖」編の面白かったところ

 └前後編に分けられているうち、後半で回収される謎の部分のほとんどを前半でばら撒かれている。初見時では普通の謎解きものっぽい印象を与えるが、しっかりとナンバーズ関係の事件であることが後半で回収される点が好印象。

 └題材設定の点で見れば、「ダム」というエネルギーに関係する人々の物語である点が面白い。コイルの存在によってダム問題が解決するという希望を21年前の人々が持っていたというのは、「この世界ならそういうことありそうだよな〜」感がある。世界観の設計がうまい。

 └物語の畳み方の点で見ると、この段階でナンバーズが持つ影響力について言及されていたのが良かった。「夢」がキーワードになっており、これは後編のイースター島の戦いまで貫かれている良い設定。変なSF作品にありがちな、唐突な設定の追加とかがないのはシンプルな構成のうまさを感じさせる。

 └謎解きの側面で見ても、みんな成仏(?)できてHappy!で終わらせるのではなく、最後の最後で「メイドが犯人だった」という形で事件の真相が明らかになるのも良い。描きたいところを描いて終わらせるのではなく、物語をきちんと畳む意識はこの辺からも見て取れる。

・6話〜12話のメインストーリー部分で何が面白かったか

 └大雑把な印象で言えば、このメインストーリー部分で全ての決着がついているのが本当に良い。例えば、「マブチのコイル嫌いの大元は何だったのか」「ミラは何者なのか」「ルーザーは何者なのか」といった、物語中に散りばめられてきた謎がここで全て回収される。

 └特筆するべきなのは、8話以降で展開されるイースター島での物語。物語がだいぶ佳境に入っているタイミングで追加されるマブチ以外の「回収屋」たちにきちんと役割が与えられていたのはシンプルにすごい(一部放置されてるキャラもいたが、、、)。この辺でポッと出てくるキャラが蔑ろにされず、かといって物語の本筋も疎かになっていない脚本(原作かも)のパワーを感じる。

  └例えば、K・Kが後半で強敵として立ちはだかる場面や、イーストリーヴァー兄妹がマブチたちの強力なサポーターとして活躍する場面など、キャラの設定が死んでいない。

└メインストーリーとの兼ね合いで言えば、マブチやルーザーなど、過去を知る人物が繰り広げる過去との決着の付け方は一貫しており好印象。アドラステアの事件を知るキーパーソンがマブチ自身であり、その過去と向き合い、そして折り合いをつけるというストーリーはシンプルでありながらも説得力がある。

 └特に、シーマイヤーとの決着の場面では過去に使っていた武器によってトドメを刺すシーンや、ワイヤーによる「巻きつけ」(コイルだから巻きつけるんですかね?)など、オッと思わせる展開は非の打ち所がない。

  └個人的には、ルーザーがイースター島で殉職した点はめちゃくちゃ高評価。過去に対して決着をつけられた人物がそのまま生き残る形のハッピーエンドではないのは物語の一貫性を欠かない良い演出だと思う。一方、マブチはマブチで新しく「回収屋」として心機一転不正コイル回収の作業に戻るのはアドラステアの生き残りとして生きがいを見つけられているような印象も受け、非常にスッキリする。

 └こうした過去の決別をするにおいて、過去と異なるミラという存在がキーになっているという構成も、ありきたりではあるが面白い。1話冒頭の「緑色の光」がここで回収されるのはシンプルに「なるほど〜!」と唸ってしまった。

 └総じて、12話のうち最後の数話でこの物語を終わらせるのではなく、半分以上の話数を使ってガッツリ深掘りがなされていた点はシンプルな構成のうまさを感じざるを得ない。ここまで時間の使い方をうまいアニメを見たことがなかったので、舌を巻いてしまった。

 

2:細かな表現部分で何が面白いのか

・癖を感じる

 └第一に、エロい部分。2話か3話のミラが首チョンパされたり、ルワイ王子が自害するシーン、あるいは2話のミラが全裸土下座するシーンとか、八十神湖編のシャワーシーンのカメラアングルは「これ制作者の性癖だろwww」とつっこみたくなってしまう良さがある。

 └第二に、雅が持っているカメラの書き込みや、イースター島突入時のマブチの車のエンジン音など、その筋の人が見たら「わかってるな〜」思わせるような演出も豊富。いい趣味してる。

・グロいところはとことんグロい

└さっきの首チョンパシーンや、K・Kに改造された人々の変貌っぷり(マジで尊厳がないと思う)、あるいは「Wの具象化」のグロさ、他にもシーマイヤーの実験による犠牲者の描写などなど、あげればキリがない。

 └特にK・K戦は一視聴者としてもエグさを感じるため、マブチたちに感情移入しやすくなっているのが好印象。悪人がとことん悪人すぎる。

・SFの設定が抜かりない

 └全体的に、オカルトの介在する余地があまり無く、納得度が高い。過去の回想であった、コイルに関するシーザーたちと百合崎博士の会話も論理的に正しそうな印象を与える。

 └他にも、ジェネシスと記憶に関する紐付けだったり、物語のキーになる部分はしっかりとその設定が生かされている。例えばシーマイヤーのブラックホール(?)に飲まれたシーンも記憶と関連していると思えば納得感につながりやすい気がする。

3:その他もろもろ

・ここは箇条書きでつらつらとやっていきます。

・マブチのミラに対する態度がちょっとキツい印象もある。それに対するミラの反応も「そんな好意抱くか?」という疑問はなくはない。

・関連して、サルバ王子がよくやるビンタも「なんでビンタするねん!」みたいなシンプルな疑問が出てくる。それに対してラシティも顔を赤らめるんじゃないよ。

・CV:石田彰でこんな雰囲気のキャラが黒幕じゃないなんてことある!?最初絶対黒幕だと思ったわ。

・K・K、初登場時にCVツダケンだからぜって〜なんかやってくるだろうなみたいな予測もできちゃったのがちょっとおもろかった。

・ミラ、初見時にうえしゃまだと気付けなかった。安済知佳さんかと思った。

・クレア・スカイハートの孫のキャラめっちゃ良い。関西弁のクソガキとかこれも性癖すぎる。サブキャラもキャラが立ってるの強いよなぁ。

・1話あたりのテンポ感だったり内容が詰まってるから飽きがこなかった。なんなら「まだ半分なの!?」みたいなタイミングが3、4回はあった。

4:終わりに

今回ひょんなことからディメンションWを見返す機会があったのですが、これ記憶消して見れてよかったなぁと。めちゃくちゃ面白いアニメだったし、これを放送時に見て記憶が残ってないのは流石に感性がヤバいなと過去の自分を責める気持ちも出てきました。

今まで見てきたアニメの中でもかなり上位の面白さとワクワクをくれたので、ぜひみんなもみよう!

 

終わり